2014-10-24(Fri)

とある一家の会話 その2

(どこの一家かは言うまでもないが、敢えて名を秘す。なお、称号を得ている人物については、その称号を付記する)

長女(Magnate)「また、Mesonaの奴、パパの悪口言ってたのね」
三女(Magnate)「ええ、確認したわ。市の広報部の会報で書かれてたの」
次女(Magnate)「ボイドプールの件ね。2位になっただけでも凄いのに、どうやったらあんな悪口書けるのよ!」
長女(Magnate)「あたしがもう少し前に出て、パパに近づいて魔曲を掛けてれば……アイツにあんなこと言わせずに済んだのに……」
次女(Magnate)「Leonardo.さんには勝てないと思うわ。仕方ないけど」
長女(Magnate)「……」
次女(Magnate)「つーか、ギルド契約は忘れてるのにああいう記事は書く暇あるんだ。ふざけた首長様よね」
三女(Magnate)「街の資金がうなぎ登りに増えてるのも、一時的な現象にすぎないのに。資質を疑うわ」
部屋のドアが開き、一人の少年が入ってくる。まだ十代半ばだが、しっかりとした体躯はまさしく父親譲りだ。顔はどちらかといえば母親似の優男。こんな美少年に壁ドンされたら、萌える女性もいるかもしれない。
長男(Magnate)「姉ちゃん、人間国宝さんが作ってくれたDOOM用の装備、持ってきたよ~」
大事そうに次女用の装備を抱えた長男の後ろに、初老のガーゴイルの男がゆっくりと現れる。部屋にいた誰もがそのガーゴイルのほうへ向き直り、会釈する。
母(Magnate)「どうもどうも、いつも主人やうちの子たちの装備を有難うございます。……ほら、あなた!」
自分の膝枕で寝ている夫の頭を軽く小突くと、深々と頭を下げる。
父は目を覚まし、辺りを見回すと──ガーゴイルの男に向けて敬礼した。
父「人間国宝先生、いらっしゃいませ!」

人間国宝(Magnate)「いえいえ、こちらこそ皆様、一族の専属職人となれたお陰で助かっております」
「人間国宝」という名前のガーゴイルの職人は、当主に対して深々とお辞儀をする。立場はあくまでも一族の使用人に過ぎないが、彼が尊敬をもって扱われていることは明々白々だ。それだけの貢献をしているのだから、当然といえば当然だが。
次女(Magnate)「早速つけてみます!」
手馴れた手つきで、新品の防具を身につける次女。濃紺の防具で全身を覆うと、彼女を覆う闘気が更に強く感じられる。
次女(Magnate)「動きやすい……これならダブルアックスをいくら振り回しても大丈夫ね」
人間国宝(Magnate)「御武運を。期待しております」
全身を覆う鎧の重さを些かも感じさせずに、次女は部屋を軽快に歩き回り、窓の外の人影に気づいた。
次女(Magnate)「伯母さん!」
そこにいたのは、一人のネクロマンサーであった。

伯母(Magnate)「お久しぶりね」
父「姉さん……何かあったの?」
伯母(Magnate)「ちょっと、人間国宝さんのお姿を拝見したのでね。私の魔法が更に強力になったので、お礼を言いに来たの」
長女(Magnate)「伯母さん、タングルありがとうね。あれのお陰で魔曲をずっととなえてられるわ」
伯母(Magnate)「赤蜘蛛なら、時間に余裕ができたら倒しておくから。あとは、もっとレアなもの手に入れてみたいわね」
長女(Magnate)「あの凄い色の鹿頭とかね。楽しみにしてるわ!」
母(Magnate)「皆さ~ん。食事にするわよ~」
四女(Magnate)「おはよ~」
まだ幼い末娘が顔を出す。人形のように整った、しかしどこか陰を背負ったような美少女だ。
次女(Magnate)「おいおい、ずっと昼寝してたのかよ」
人間国宝(Magnate)「いやぁ、いいですなぁ、一族揃って美男美女揃いで」
長女(Magnate)「んじゃ、Mesonaが来る前に食べ始めようね~」
玄関の呼び鈴が鳴る。
三女(Magnate)「ちっ」
Mesona(Magnate)「こんばんは~」
一匹のグレートバラクーダを手に提げていたのは、いわずと知れたニューマジンシア首長であった。

小一時間の豪華な食事が終わり、伯母と人間国宝とMesonaは各々の家に帰っていく。末娘は自分の部屋に戻り、父母娘三人息子一人の六人が居間に残った。
長女(Magnate)「いやぁ、美味しかった美味しかった。アイツの顔さえ見なければもっと美味しかったのに」
長男(Magnate)「何もそこまで言わなくても……Mesonaさん、レア魚釣って、持ってきてくれたじゃん」
長女(Magnate)「アンタやけにMesonaのこと庇うじゃない。犬一匹もらったのがそんなに嬉しいわけ?」
三女(Magnate)「懐柔されたな」
長男(Magnate)「ただの犬じゃないよ。純白のクーシーだよぉ! んじゃ、おやすみ!」
長男は席を立って、足早に部屋を出た。
三女(Magnate)「ところで、姉さんって、今度の感謝祭の頃には、被選挙権得られる年齢になるよね?」
長女は、頭の中で何かが閃いたかのようにニヤリと笑った。
長女(Magnate)「面白いわねぇ。出ちゃおうかな!」
次女(Magnate)「立候補してよ! 兄弟一同で応援するからさ! 落選して、公職から外れたら、思う存分殺せるわ」
三女(Magnate)「恒例のイベントのステドラ討伐を主催してる父さんを侮辱するような奴だから、アイツ、実は人気ないよ」
長女(Magnate)「ずっと無投票だからね。選挙で負けて、首長の座から引きずり下ろされたら、どんな顔するだろうね。いやぁ、こりゃ出るしかないね!」
娘たちがの笑い声を、テーブルにグラスを叩きつける音がかき消す。

母(Magnate)「あなたたち、いい加減になさい!」

母(Magnate)「首長職というのは公職です! 市民の皆様から頂いた税金を使って、個々人ではできないことを成し遂げて、市民の皆様方に還元する、公益のための職務です! 首長の判断一つで、得をする人、損をする人、命を救われる人、職や財産を失う人……沢山の人に様々な影響を与えうる、それだけの権力を持っているの。パパを馬鹿にされたからなどという私的な理由で、立候補してよいものではありません!」
長女(Magnate)「じゃあ、母さんはMesonaがこのまま首長を続けてもいいって言うの?」
母(Magnate)「いいとは言ってません。立候補するなとも言ってません。立候補するなら、今の首長のこのようなところが問題だということを指摘し、私ならこうするという対案を挙げて、市民の皆様にお願いすべきだと言ってるの!」
一息ついたあと、母は続けて、
母(Magnate)「少なくとも、議事録は一通り目を通しておきなさい。ムーングロウ首長がちゃんと記録して下さってるわ」
背を向けて、そのまま台所へと立ち去った。
ここ数年母が怒ったところを見たことがない父は、おろおろとしながら母の後を追った。

台所で父は母の肩に手を置いて、耳元で囁いた。
父「おいおい、あんなにきつく言わないでも……」
母(Magnate)「大丈夫。あの子は……とても賢い子だから」

広い居間に残された三人の娘。
長女(Magnate)「そうね。まずは議事録を全部読んでみるわ。そして、ニューマジンシアに関するあらゆることを調べてみる。本気で……やってやるわよ!」
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